AZOOR(急性帯状潜在性網膜外層症)

「アズール」AZOOR(急性帯状潜在性網膜外層症)とは?

 

「AZOOR(急性帯状潜在性網膜外層症)」(以下AZOOR)とは、

1992年にGassが提唱した疾患概念であり、

現在は原因不明の網膜疾患である。

 

若年女性に多く(70%前後が女性)、

光視症

(通常、まぶしくない時でもまぶしく感じる)

を伴い、

急激な視力低下(発症部位にもよる)、

視野欠損を発症する、

網膜外層に障害が生じる疾患である。

 

眼科では「光干渉断層計(OCT)」の検査で

診断される。

 

※「網膜」は眼球壁の最内層にあり10層構造になっている。

働きとしては主に光を感じる部分。

網膜の外側に脈絡膜、更に外に強膜がある。

※※視神経炎(特に球後視神経炎)が鑑別疾患。

 

・また、片目に発症することが多いが

稀に両目に出ることもある。

 

・眼底検査では異常がない場合がほとんど。

 

・OCTにて、視野欠損部位と一致した網膜外層の

異常がみられるか、もしくは

ERG(網膜電図)にて振幅低下がみられる。

 

※ERG(網膜電図)は、光刺激による網膜

(視細胞・ニューロンの活動)の

活動を調べる検査。

 

・発症前に風邪のような症状になる人もいる。

 

・矯正視力がどちらも左右片目0.3以下になると

重症。

 

 

 

 AZOORの症状と合併症

・主な症状として急激な

「視野欠損」と、

発症部位により「視力低下」がある。

 

・上記にも書いた

「光視症(光がチカチカして眩しい)」

は70~80%の人に出現する。

(段々軽減する人や長期に持続する場合がある)

 

・30%前後で自己免疫疾患を併発する。

橋本病や多発性硬化症など。

 

・原因は不明

(ウイルス説、自己免疫説、遺伝的要素説あり)

 

 

 

※個人的な意見ではあるが、AZOOR含め、

網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞症の方が、

「2022〜2023年前後」

から急激に増えた気がしている。

 

 

 

 所見

・発症時視力が1.0以上保たれてる人が45%いる一方、

0.2以下になる人も25%前後いる。

また、発症する人の約80%が元々が近視。

 

・視野欠損はほぼ全員にみられる。

特にマリオット盲点に視野欠損が

起き、マリオット盲点の拡大が起きる場合が

最も多い(約70%)。

それに加え起きる中心暗点や、

輪状暗点、周辺視野欠損など

様々な視野欠損が症状としてある。

 

・長期経過後、稀に眼底検査で

網膜絡膜萎縮、網膜血管の白鞘化、

黄斑浮腫がみられる。

(約50%は長期経過後も眼底は正常)

 

・OCT(眼底検査)では、「IS/OSライン(視細胞内節/外節ライン又はellipsoid zone)」が欠損か不明瞭で、

「COSTライン(錐体外節先端ライン又はinterdigitation zone)」が消失している場合が多い。

回復期や軽症の人は

「IS/OSラインはほぼ正常、COSTラインのみ異常がみられる」

上記所見は、半年以内に回復することも多い。

(稀におきる外顆粒層の菲薄化した場合は難治)

また、IS/OSラインが正常もしくは改善して、COSTラインの

回復がみられない場合でも、視機能は改善(ほぼ治る)する場合がある。

 

 

 

 経過と予後

・発症後半年で約80%が症状固定、

約20%がその後もゆっくりと改善傾向。

 

・欧米人より日本人の方が回復率が高い。

 

・球後視神経炎に似た症状だが、球後視神経炎は

眼球運動痛を伴う場合がおおいので、

その辺でも判断できる。

 

 

 

 西洋医学的治療

現在はAZOORの治療法は

確立されていない。

※ステロイドの点滴や投薬もあるが、

効果がまだはっきりしていない。

 

 

 

 鍼灸治療

想定する使用穴は

 

「天柱」「下天柱」「風池」「玉枕」「耳点1番」

「脳神経点2番」「目点」「肩中兪」「肩井」

「大腸兪」「腎兪」「志室」「脾兪」「肝兪」

「太衝」「太谿」「三陰交」「懸鐘」「陽輔」

「光明」「合谷」「曲池」「攅竹」「太陽」

「球後」「承泣」「晴明」「健明」「魚腰」

などから、適宜使用。

治療初期3か月間は週2回以上の治療が望ましい。

 

 

※「耳点1番」「脳神経点2番」「目点」は、

YNSA(山元式新頭針療法)の刺針点。

 

※※参考文献 「急性帯状潜在性網膜外層症(AZOOR)の診断ガイドライン」

厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する

調査研究班AZOORの診断ガイドライン作成ワーキンググループ